「U-Tsu-Wa/うつわ」展

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3人の個性的な陶芸家の作品を集めた展覧会です。三宅一生さんが企画し、陶器が巨大な水盤の上に静かに佇むような構成は、安藤忠雄さんの仕事とのことでした。その展示手法のせいか、凛とした緊張感のある空気が会場に満ちていて、特にルーシー・リィーさんの作品にある繊細で硬質な質感にはとても合っていました。


ルーシー・リィーさんの作品は、繊細でストイックで日本の茶器のようなワビサビにも溢れていますが、基本的にはかわいいです。だから水盤の上の静謐な空気の中に佇んでいても、ある種のユーモアのようなものを見る人に投げかけてきます。キュっと心を掴まれる感じで、それがかわいいのです。入口脇の壁面でBBCか何かで制作された彼女のドキュメンタリーが映されていましたが、彼女自身も温かく、ウィットに富んだ魅力的な女性でした。当然のことなのでしょうが、それは作品にも溢れています。
その反面、彼女は戦争も経験し、なかなか苦労をしてから成功したようです。戦争のさなか、亡命中の彼女は、生活の糧のために陶器のボタンを作ったりもしていました。でも彼女の作りだしていたボタンたちは楽しみに溢れ、美しく、かわいく、まるで宝の山です。ボタンを量産するために作られた型ですら丁寧に作られ、上品で美しい。
これはつまり、”彼女が美しい”のだと、僕は気がつきました。BBCの映像の中で彼女は真剣なまなざしで、でも睨みつけるわけでもなく、丁寧にたんたんと器に模様を刻んでいました。それを見るめるインタビュアー。
話しかけてもいいのよ。
彼女は器から目をそらすことなく、快活に、でも本当にやわらかく、まるで恋人に「じゃあ仕事が終わったら駅で待ってるわね」と言うのと同じトーンでそう言いました。僕は普通にどきっとしました。彼女がつくっているのはウツワです。自己表現の極みのような絵画や彫刻ではなく、ウツワなのでした。そこに至って、僕は彼女が陶芸を仕事とし、何故ウツワを作って人々の心を掴んで離さないのか気がつきました。三宅一生さんのコメントにあるとおり、ものづくりの原点がここにはあると思います。
【U-Tsu-Wa/うつわ― ルーシー・リィー、ジェニファー・リー、エルンスト・ガンペール】
21_21 DESIGN SIGHT
2009年2月13日(金)~5月10日(日)火曜休館

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